｢……返事、しなきゃとは思ってるの｣


忘れてたわけじゃない

なかったことにしようとしてるわけでも

あやふやにしようとしてるわけでもなくて

ちゃんと、考えてた

いつきさんが真剣に言ってくれた言葉だったから


｢だけど、分からなくて｣


｢いつきさんは好きだよ
まこちゃんもシン君も好き｣


｢でも、いつきさんの言う
｢好き｣はこれじゃないんだよね？
私、いつきさんと同じ｢好き｣を持ってるのかな？｣


いつきさんは多分
私を『特別』に思ってくれてる

特別な『好き』を向けてくれてる

でも、私は？

私の『これ』はいつきさんの『好き』と同じ？



｢……好きの違いが分からない｣



色んな好きがあるのは知ってる

けど、その見分けがつかない



分からない



｢……めんどくせぇな｣

｢シン兄｣

｢…ったくよ、ほれ｣


しゅんと落ち込む私を見て

がしがしと頭を掻いて、ため息をつくシン君に
まこちゃんがいさめるように声を返す


そして


｢…シン君？｣


傍に来たと思えば、突然ぎゅっと私を抱き締めた