「まこちゃん、これ
いつきさんに渡してくれる?」

「いいけど、会っていかないの?」

「買い物して行きたいから」

「分かった」


お弁当の入った紙袋を
まこちゃんに預けると、横からシン君が


「んで?お前、いつきとはどうなんだよ?」


そんな事を言い出して


「どうって?」

「告られたんだろ?」

「……なんで知ってるの?」


にやにやしながら面白そうに聞いてくるシン君
私はきょとんとして、それから首を傾げた


「いつきがオーナーと話してるの
盗み聞きしたの、シン兄は」

「聞こえたんだよ」


悪びれもせず笑うシン君に
まこちゃんは呆れ顔


「まさか
いつきの「欲しいもの」がお前だとはなー」

「……え?」


シン君のその言葉に私は目を丸くした


「前に話したろ?
いつきが欲しいもんができたって言ってたって」



『欲しいもんできたとか言ってたな』


……聞いた


オーナーにも


『高い安いと
お金で価値を決めるのは難しいものだよ』



「あれ、お前のことだとよ」