たとえば、こんな人生も

「もし猫だったら教えてね。連れて帰るから」


猫に目がないれいかさん

前にお店に迷いこんだ野良の親子猫を
みんなまとめて引き取った

やせっぽっちで、ぼろぼろで
見るからに可哀想だったその猫達は

れいかさんに引き取られてから
見違えるくらい綺麗になって

とても大切にされて、今は幸せに暮らしてる


「分かりました」


笑って頷いて部屋に向かった




――…




「…………うーん……」



顎に手を置いて小さく唸る



結論から言えば猫はいなかった



だけど、代わりに



「…れいかさん
人間は連れて帰らないよなぁ……」



天蓋付きのベッドで
気持ち良さそうに眠っている、男の人がいた