夢物語は現実にはならない、それを実感した時は大好きな父を亡くした時だった。

涙はどんなに流しても月日と共に流れなくなり、悟ったのはしっかり前を向かないといけないという事。

幸いにも私の回りには心温かな人がいる。

その中でまるで守られてるかのように生活し成長した。

ただ、父を亡くした後に現れた恋人と言う女とその娘2人。

都合いい話だと思っていたが、生前の父を愛し父が愛した民宿、森園館を譲渡契約していたと言う。

そのせいで私は普通よりさらに下の生活を送る事になった。

与えられるのは最低限の物だけ。

最悪にもお下がり洋服すらない。

中居さん達がお下がり服をもらってきたり、中学の入学卒業、高校入学もいつもそばにいてくれる。

服なんかより、中居さん達のためにも挫けるわけにはいかない。

めげないで明るく楽しく、笑っている私の方がいい。

私は森原煌理。

恋すら知らない私がこれから出会うのは、黒装束を纏う怪しい影のある人。

彼は誰? 何者―――