図書室の窓を開けると、ジメッとした風が吹き込んだ。
空もどんよりとした暗い雲に覆われ、今にも雨が降り出しそうな予感がしていた。
雨はどうしても好きになれない……なんとなく寂しい気持ちになってしまうから。
流れの速い黒い雲をじっと見つめた。
「ヒサー」
私を呼ぶ声に振り向くと、生徒会室の扉から顔を覗かせた奈々ちゃんが立っていた。
「ちょっといいかな?」
いつもとは違う、奈々ちゃんの遠慮がちな様子。
「うん、大丈夫だよ」
私がそう返事をすると、いつも私が勉強している前の席に奈々ちゃんは座った。
「なぁにー? そのかしこまった感じー。嫌な予感がする」
私も椅子に座りながら言うと、奈々ちゃんは『バレたー?』と言いながら笑った。
「ヒサが難しい受験を控えてるのに申し訳ないんだけどさ……力を貸して欲しいんだ」
「力を貸す?」
「うん、学園祭のこと」