いつもセンパイが座っていたこの席は、今は私の場所。
大きく開いた窓を少し開けると、ちょっと肌寒い風が吹き込んだ。
その風を思い切り吸い込み、外を見つめた。
夕方に向かうにつれて赤く染まっていく大イチョウを見ると、ギュッと胸が締め付けられた。
センパイが卒業して2年。
センパイに会いたいと思う気持ちは、今もずっと変わっていない。
会いたくて……。
会いたくて……。
会いたくて……。
涙が溢れた――――。
ガタン……。
その音に驚き振り向くと
「あ……すいません……」
そこには、あの明日実くんが立っていた。