そっと図書室の扉を開ける。 入口から遠く、本棚と本棚に囲まれた個室のようになった場所。 そこに机と椅子が置かれ朝日が射し込むその場所で、1年前の今日、T学園の入学式の日、君は気持ちよさそうに眠っていた。 そっとその場所に入る。 眩しいくらいの朝日。 少し窓を開け、思い切り空気を吸い込んだ。 「はぁ」 ここから見える大きな2本のイチョウを、あの人は大好きで、いつも眺めていた。