優也センパイと出会ったのは、夢の国にあるようなレンガ造りのお城のようなジュエリーショップ。
勉強も出来ない、趣味ってものもない、好きな人もいない、何に対しても無関心だった私が、その店のウインドーに飾られていたペアリングに一目惚れしたことが始まりだった。
美しい曲線を描くその指輪に恋をし、毎日毎日、学校帰りに見に行っていた。
どうしても欲しくて、欲しくて……。
そして、両親の母校でもあるT学園を受験し、合格したらあの指輪を買ってくれるという約束をした。
勉強も嫌いだった私が無我夢中で頑張った受験。
無事合格をして、夢だったあの指輪を手に入れる……はずだった。
買に行ったその時、僅差であのペアリングは買われてしまっていた。
それが優也センパイだった。
付き合っていた彼女とつけるため、ペアで買って行った優也センパイ。
それがまさか、T学園の入学式で再会することになるなんて思ってもみなかった。