寒さが残る4月、早朝の寒さは体が固まってしまうんじゃないかと思うほど。
それでも、この図書室の大きく開いた窓から溢れる陽の光はとても暖かく、いつも私を眠りへ誘う。
暑さを感じるほどの窓際の席につくと、ついウトウトしてしまう。
あー、ダメダメ、今日は入学式なんだから眠ったら……ダメなのに……。
そう考えても、いつの間にか暖かい天国のようなこの場所で眠りにつく。
私、柏木 緋沙は、入学式や卒業式、そういったものがとにかく苦手だ。
年に何度もあるわけじゃないけど、どうしても好きにはなれない。
人の多い場所やイベントが苦手ってこともあるけれど、それは――――。
入学式も卒業式も私にとって、とても思い出深いものだから。
初めて人を好きになった、瀬戸 優也センパイ。
センパイが卒業して、もう2年が経つ。
今私は、あの時のセンパイと同じ歳になった。