俺の“リスペクトする”って、他の奴らとは違うってずっと思っていた。

頭が良いとか、スポーツが出来るとか、それだけじゃない。

そんなの追い越そうと思えば出来ると思っているから。



4つ上の従兄弟、瀬戸(せと) 優也(ゆうや)


優也兄ちゃんのすごさは、いつも父さんから聞かされていた。

父さんの後輩が当時このT学園で教師をしていて、生徒会長をしていた優也兄ちゃんの偉大さは、嫌でも耳に入ってきていた。


精神論じゃないけど、そこが優也兄ちゃんはズバ抜けていた。

この厳しい学校で、歴代の生徒会長よりも仕事が出来て、生徒会長職を全うしたと聞いた。

今でこそ時代も変わって、校風も柔軟にはなってきているらしいけど、このT学園の厳しさはウワサが広まり近隣や学生たちからも恐れられているくらいだった。

先生たちも尻尾を巻いて逃げ出したくなるほど、生徒の親もうるさかったらしい。

今じゃモンスターペアレントとか言って、すぐ訴えられてもおかしくないほどだったらしいけど。

そんな親たちの意見やクレームを優也兄ちゃんは、先生なんかよりも上手く治めることができていた。

だから先生にも生徒にも、もちろん生徒会のメンバーにも厚く信頼されていた。

なんかそれって、精神論っていうか根性論だよな。

大人より大人っぽい考えを持って、冷静に行動が出来る人。

本当にすべてがカッコイイって思った。