勇飛side
あの日俺は母さんの病室で泣いていたんだ。
そう、母さんが空へ旅立ってしまった。
まだ母さんは、死なないなんて、
そんな保証はなくて、
俺は母さんのために何かできたんだろうか。
「ご....めん....母さん」
痛かったよな。
苦しかったよな。
何にもできない無力な俺で本当にごめん。
なんて、今さら後悔しても遅いよな。
あー。だめだ。涙が止まらない。
母さんの冷たくなった手を握り窓の外を見た。
母さん、いつだったか忘れたけど言ってたな。
「勇飛。桜ってね。すっごく綺麗でしょー?でも、落ちては消えていく。母さんはそれがまるで自分のように思えるのよね。」
あの時の小さい俺は、全く意味がわからなくて、母さんに聞いたんだ。
「どーいうことー?母さんは桜じゃないよー?」
そしたら母さんは微笑んで、
言ったんだ。
「そうね。母さん勘違いしてたのよ。桜ってね落ちたらまた、新しい花がさくでしょー?」
「うん。」
「でね、桜を人間と同じように考えてみたの。それで母さん思ったんだ。もし、だれか1人消えちゃっても、また誰かがその穴を埋めてくれるんだなって。」
「え。母さん消えちゃうの?そんなのヤダ!」
今思えばあの時母さん困ったように笑ってたな。
はぁ。最低じゃん俺。
