学校の授業が終わった。今から部活はだるいだの放課後カフェに行くだの教室で話が飛び交い少し騒がしい。そんな僕は窓の外をぼんやりと見つめていた。寒い日だけど太陽が降り注ぎ僕の机にも影ができていた。親指と真ん中指をくっ付けて、、、狐!なんてよくやったなぁなんて思うと僕の手に白くて細い狐がぶつかった。「待たせてごめんね狐くん。ほら、いくよ!」 「見てたのかよ。」
彼女は微笑んだらスクールバッグを持って走り出した。僕も慌てて後について行く。これはいつものことだ。2人で階段を駆け上って屋上へ辿り着いた。息が上がっていて白い息がでていた。
屋上の手すりに体を任せ目を合わせる。
この瞬間が僕は大好きだ。いつもここで他愛もない話をして時には悩みなんかを聞き合ったりしてそんなかけがえのない毎日を僕たちは大切にしている。思ったより寒くて彼女は白い息で手を温めていた。その手を取り僕のポケットに手を突っ込んだ。君を見てにやりと笑った僕に、君は「何笑ってるのよ」と嬉しそうに言った。
「そういえば」と言って鞄から缶コーヒーを二つ取り出してミルク入りの方を僕に渡した。
「これ飲んだらあったかくなるかな」と言った。