「つ、辛い……」

目を覚ました瞬間に、体をだるさが襲う。私は思わず呟いていた。解熱剤が切れたようで、熱が上がってきている。

十月の中旬。少しずつ寒くなってきた頃、私は熱を出して学校を休んでいた。福祉の授業を受けられないのは嫌だけど、横になっていたい気持ちの方が強く、大人しくしている。

「水……」

ベッドの近くのテーブルに置いたペットボトルに手を伸ばす。しかし、中身は入っておらず空っぽだ。

「うう……。喉、乾いた……」

しかし、水をもらいに行く元気などない。でも私の脳は喉の渇きを訴え続ける。頑張って起きようとした刹那、ガチャリとドアが開いた。

「大丈夫?」

おばあちゃんが湯飲みを持って入ってくる。誰か来てくれたことに私はホッとした。

「水、水ちょうだい……」

私がそう言うと、おばあちゃんは「ちょうどよかった。これを淹れたところなの」と湯飲みをテーブルに置き、部屋から出て行く。