「私の、名前は、須藤葵、です。よろしくお願いします」

「あなたの歳はいくつですか?」

「私は、十七歳です。高校二年生、です」

「あなたの趣味は何ですか?」

「私は、おしゃれが、好きです」

ゆっくりとしかできないけど、ろう者の人と話していて楽しいと思った。今まで関わらなかった世界とつながって、緊張していながらも恋をしているみたいにドキドキしている自分がいる。

「あなたの手話、とてもいいです」

男性がそう言い、私はカアッと体が熱くなる。頰が、熱い。

「ありがとうございます」

そう言いながら、私は左手の甲から右手を縦に垂直に上げた。