「そっか……。また、どこかで会えたら喫茶店でお話ししましょう」

ニコリと笑ったおばあちゃんは、首にかけているタオルをすぐ目に当てる。私の視界もぼやけたけど、何とか泣くのを堪え、微笑んだ。

「ありがとうございました!!」

利用者さんにも、職員さんにも挨拶して車へと向かう。

楽しいことだけじゃなくて、介護の世界の大変さも学んだ。どれだけ一生懸命介助をしても、利用者さんに怒鳴られてしまう日もあった。でも、その思い出全てが大切で、とても愛おしくて……。

「………………ッ!」

帰りの車の中で、私は声を殺して泣いた。お兄ちゃんは、優しく私を見守っていてくれて、私の涙が止まるまで家には向かわなかった。

今年の夏は、今まで過ごした中で一番特別な夏だった。