夏休みに入って数日。学校ではできないメイクを朝からして、おしゃれをして、友達と遊びに出かける。カフェ巡りをしたり、ショッピングに出かけたり、映画鑑賞にカラオケにも行った。

「葵、あんた宿題してるの?」

お母さんがスマホをいじっている私に痛いことを言う。確か去年は宿題を全然してなくて、詩織の宿題を写させてもらったっけ。

「……わかってるよ!今からする!」

私はスマホをソファの上に置き、全然手をつけていない夏休みの宿題に取り掛かる。

『アマゾンの奥地にいるという怪物を我々は探すことにしました』

急にナレーションが聞こえ、私はビクッと肩を震わせる。おばあちゃんがテレビをつけたのだ。

「あら、この人たち大変ね〜。こんな場所を探検するなんて」

ゼリーを食べながらおばあちゃんが呟く。テレビには、大きなリュックを背負った男性数人が足場の悪そうなジャングルを歩いている。私は宿題を放り出し、おばあちゃんの隣に座る。