「はあ〜……」

私が机に突っ伏すと、次々とチェリーたちも突っ伏していく。

福祉の授業が始まって、まだ二十分ほどしか経っていない。でもこれはもうやる気を失うって……。

「福祉コースの生徒に連絡で〜す!明日、ボディメカニクスのテストをしま〜す!ちゃんと勉強してきてね〜!」

そんな放送が、昨日の昼休みに突然かかってきた。かけてきたのは、伊藤先生。お弁当を食べていた私は、「はあ〜!?」と教室で叫んでしまい恥ずかしい思いをした。

そして今日。昨日の放送通り、伊藤先生は小テストの紙を配り始め、今に至る。

ちなみに、ボディメカニクスとは日本語では身体運動学。人間の神経系、関節系などの相互関係の総称のことで、介助に必要な力を小さくできるもの。力任せにしなくても、無理なく体の向きを変えたりすることができる技術なんだ。そのボディメカニクスの原則は八つある。

一、利用者にできるだけ近づく。

二、対象を小さくまとめる。(利用者さんに腕を胸の前に組んでもらうなどして、できるだけ球体に近づける)