そして食事介助の時には、利用者さんが喉に詰まらせていないか、きちんと食べているのかを見るということを伊藤先生は言っていた。お兄ちゃんたちがおばあちゃんを見ていたのはそう言うことだったんだと私は納得する。

そこでチャイムが鳴り、授業が終わった。



その翌週、私たちは杉浦先生の授業で食事介助の練習をした。そこで、食事介助は見た目以上に難しいのだと知った。

食べたのかがわからないし、一口の分量や食べるペースもわからない。

お兄ちゃんは、食事介助は仕事でしていると言っていた。あんな難しいこと、よくできるよなぁ……。

私はおやつのカステラを食べながら、ため息を一つ。

「こらこら、幸せが逃げてくよ」

そう言うおばあちゃんを無視して、私はスマホをいじり続ける。

今のおばあちゃんとの、残された時間も知らずに……。