「みんなは普通にご飯が食べられるけど、高齢者の方だと誤嚥してしまう危険もあるんだよ。ところで、誤嚥って何か知ってる人いる?」

伊藤先生がそう訊ねると、一斉に手が挙がる。私も挙げる。だって、家でお兄ちゃんに教えられたからね。

「じゃあ、葵ちゃん!」

おお、当てられた!答えられるかなとちょっとドキドキ。

「口の中の食べ物を飲み込んだ時に、誤って気管に入ってしまうことです。肺炎の原因になります」

「正解!」

伊藤先生が拍手をすると、チェリーたちも拍手をしてくれた。「やるじゃねえか」と太陽が私に笑いかける。

「食事介助のポイントは六つあります」

伊藤先生はそう言って、ホワイトボードに書いていく。私たちは、それをじっと見つめた。

一,しっかりと目覚めてから食事を始める。

二、座位(座ること)がとれる場合は、椅子に移動してもらう。

三、食事の椅子は、かかとが床に着く高さまで、テーブルは肘が楽に置ける程度の高さがよい。