福祉の世界に飛び込んだ時は、何も知らなくて偏見ばかり持っていた。でも、みんなが福祉や介護の世界の楽しさを教えてくれた。

おばあちゃんのこと、実習のこと、今まで福祉の世界で出会った人たちとの出来事が浮かぶ。泣きたくなるほど、幸せと奇跡であふれた思い出ーーー。私は、泣きそうになりながら口を開いた。

「私は福祉を学ぶまで、こうして福祉の世界に飛び込むまで、何も知りませんでした。いいえ、何も知ろうとしませんでした。……でも、福祉の世界は、私が思っている以上に綺麗な世界です。様々な人と出会い、学び、自分自身を成長させてくれます。そして、私に優しさや人と巡り会う奇跡を教えてくれました。……福祉の世界には、感謝してもしきれません」

私がそう言い終わると、「いい言葉!みんないい言葉だったよ!」と利用者さんが拍手を送ってくれた。私たちは笑い合い、無事に終わったことに安堵する。

利用者さん、そして職員さんにお礼を言った後、私たちの瞳からなぜか涙があふれて止まなかった。



文化祭で上映されたその映画のタイトルを、「奇跡」とみんなで名付けた。

福祉コースで今まで前例のない出来事に、映画を多くの人が見てくれた。

「いい映画だったと思うぞ」

お兄ちゃんがそう言って笑ってくれた。

福祉の世界に興味を持ってくれる人が増えてほしい。そう私は思い、文化祭の華やかな空気を詩織たちと楽しんだ。