「そっか。困ったなぁ」 本当に困った顔をしてゆるふわヘアーの後ろ頭を掻いた朝比奈くんは、少し押し黙ってから私を見おろした。 琥珀色の瞳と視線が絡んで、じわっと胸の奥に熱を感じる。 思わず視線を逸らすと、 「ん、わかった」 納得したような声が聞こえたかと思えば、なぜか両肩に柔らかく手のひらが置かれて。 「え……っ」 のどの奥から漏れたあたしの戸惑い。 でもこっちの動揺なんかに、朝比奈くんはペースを乱さない。