赤らんだ顔を隠すようによそを向いて、私は返す。



「……意味、わかんないんだけど……」



こんな可愛くない声を、朝比奈くんが許すわけないって思ってた。


――ガシ。


案の定、朝比奈くんの両手に頬を掴まれて、至近距離で目があってしまう。


「なんだって?」


つっかかるような声と上から目線の微笑で、生意気を言った私の頬を横に伸ばそうとしているのは、わかるけど。


火照って仕方ない顔、見られたくない……!


そうして私は階段にいるのも忘れて、一歩踏み出してしまったんだ。


「……っ、あ」


足を着くつもりだった床の感覚がなくて、体が宙に浮く。


思わず目を閉じた。



「宮岡さん!」