「……えー。そんなに知りたい?」
もったいぶる朝比奈くんの声。
上目遣いの女子を見つめ、表情を和らげた朝比奈くんは、自分の唇に一本指を立てた。
「……ナイショ」
そして小さく笑う。
……っ。
かわいい……。
思わず両手で頬を覆ってしまう。
ぎゅんっと胸に迫りくるなにかに心臓が砕かれた。
この気持ちをきっとクラス中の女子が抱えてる。
だってみんな、同じように言葉も失い、同じようにただ熱っぽい視線で朝比奈くんを見ているんだから。
……ってそうじゃない、そうじゃなかった。
どうして否定しないの!?
朝比奈くんがスマートに否定してくれればすむ話なのに、ばか!
「あの、違うの!」
っていう私の声は、誰にも、さっぱり届いていない。



