「……どうしたの?抱きしめてほしいの?」
優しくて甘い囁きを落とした彼に一秒分の思考が奪われた。
次の瞬間、頬に当たった朝比奈くんのカッターシャツ。
呼吸より自然に抱きしめられて。
どっくんと大きく心臓が跳ね上がる。
「キャア―――――!!!」
教室が爆発してもおかしくない悲鳴がとどろいて、やっと私の思考は動き出した。
――本当に朝比奈くんだけは信じられない!
この状況の何にも動じていない彼の胸をドンっと押した。
「……、なにしてるの……っ」
人前で、このタイミングで……!
もう全部を疑うよ。
睨み上げる先で、朝比奈くんは私と真逆な心境にでもいるのか、平然と言うの。
「で、何の騒ぎ?」



