「心配しないで。宮岡さんのひとりやふたり、俺には朝飯前だから」


「……ふたりもいません」


それに何なの、朝飯前って。


そんな簡単に私は朝比奈くんにときめ……いちゃうかもしれない……。



経験値が違う。

彼なら私のひとりやふたり朝飯前だ。


でも、態度になんか出すもんか。



「だから安心して俺と付き合ってよ。幸せにするから」



狙うようなセリフを吐いて、ちらっとこっちを確認するのやめて。



「そんな見え透いた冗談で、私はときめいたりしないから」



もう少し他の言い方があるだろうに、私はまた可愛くないことを……。



「えー?」



ベッドに両手をついて天井を振り仰ぐ彼は、あきれっぽくため息をついてから、こっちに顔を傾けた。



「……手ごわいなぁ、”俺の彼女”は」



横目が笑う。


私の真ん中を貫きながら、笑う。