「宮岡さん」 一本調子でやる気のない声が私を呼んだ。 肩越しに振り返れば、 今日も気だるげな朝比奈くん。 「そこ座ろ」 空き教室に並んだ机を適当にさした指先は、 ためらいなく私の指を絡めて、平然と歩いちゃう。 引っ掛けられた指先から伝わる朝比奈くんの体温。 ……なんで平気なの? 緊張しないの? 朝比奈くんは、マイペース。