僕を壊したのは君だから。

だいたい、パシリなんて言い方をされたら私に頼み事をしてきた相手が不名誉だ。



ーー『宮岡さん! 実はわたし、今日バイトで早く帰らなきゃいけなくて! 雑用変わってくれない?』


ーー『うん、いいよ』


ーー『ありがとう!! 宮岡さんがいてくれて本当よかったあ!』



これのどこがパシリっていうの。


頼られて役に立てれば、きっとまたあの子は私に喋りかけてくれる。


私は、それが嬉しいの。



「パシリなんて言わないで。私だって嫌なことは嫌って言ってる」



「へー意外」


まるで信じていそうにない声色。


なんなの、この人…。


かまわず朝比奈くんはのんびりと続けた。


「入学早々、宮岡さんって仕事が多い緑化委員を押し付けられて。

花壇の整備はかれこれ2か月全部ひとりでやって。もう一人の緑化委員に声をかけることさえしない」



「……え」



「ほんと、いい子ちゃんだね」



押し付けられたわけではないけど、なんでそんなこと知ってるの?



見てて、くれたの?



とくんと心臓が跳ねて、表情にでそうになる小さな喜びを全部おしころす。



そんな私の思いに気づくはずもなく、朝比奈くんは小馬鹿にするような声を私に向けた。



「地球最後の日も宮岡さんは頼まれた草取りでもしてそうだよね」