SIDE 朝比奈 岬
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――アルコール分 5%
床に転がっていた空っぽの缶のラベルはそう言っていた。
「冷蔵庫に飲み物入れとくから、適当に飲もうぜ」と言ったのは紛れもなく島田だ。
「……島田、高校デビューかよ」
中3の頃はさ、修学旅行に缶酎ハイ持ってきた生徒のこと悪くいってたくせに。
俺なんか悲しいわ。
まぁ、そんな言い訳で、まさか宮岡さんの飲んでるものがジュースじゃなくて酒だなんて思うわけなかった。
俺が飲んでる方は健全なオレンジジュースだし……つーか、気づいたときには遅かったよね。
『私付き合いたいなんて微塵も思わないけど。……でも、近くにいたいって、いつも思ってる』
『朝比奈くんって存在は……恋愛だとかそんなちっぽけなもの簡単に凌駕するんだよ』
『朝比奈くんっていうのは……存在が、才能だから……』
『私、朝比奈くんになりたいってずっと思ってた』
頭の中でリアルに反芻するたび、心臓がバクバクなっている。
……なに、さっきの殺し文句シリーズ。
あれが、宮岡さんの本心っていうこと?
それとも酔っぱらったせいで過大表現しちゃった?
ベッドですやすやと寝ている宮岡さんをちらりと視界に入れる。
付き合いたいと思ってないけど、恋愛を越える。
……意味わかんないから。
ソレって、何……。
頭をガシガシと掻きながら、叫びたくなるような衝動をこらえる。
何も言い返せなくなった。
いつも適当な言葉がスラスラと出たのに。
宮岡さんかよってくらい赤面して、思考停止させられて。
……完全に立場逆転されちゃったじゃん。
鏡をみたら今の俺はたぶん、相当真っ赤な顔してるんだろうね。
そんなの見たくないから見ないけど。