私は、なぜかいつもより居心地よく感じる温もりに身を任せて。



「前に階段から落ちたとき……朝比奈くんがふざけて言ったみたいに、わたし、朝比奈くんと入れ替わっちゃいたい」



そう言って胸にしがみつき、見上げる先。



ぼんやりと映る赤らんだ彼の顔。それは、ふいっと視線を逸らし。



「……っ、宮岡さん、なにしてんの。離れてよ」



めずらしく動揺した彼の声に、ドクリと心臓が動く。
と同時にはっとする。



「……でも入れ替わったら、朝比奈くんに会えなくなるのか」



大発見だ……。
だとすれば、


「そんなのは論外だよね。だって朝比奈くんに会えないのは……ぜったいやだもん」



私の目がおかしいのか。

真っ赤な顔をした彼の戸惑いの表情をして見えるんだ。