僕を壊したのは君だから。

肩を抱かれるがまま、ガチガチになって歩き続ける宿の廊下。


「俺の部屋でいいよね」


とナチュラルに誘われてはいってしまったのは、男子部屋、朝比奈くんの部屋だ。


部屋の片隅におかれた朝比奈くんと島田くんの荷物を見て、冷静になる。


男子と……しかも朝比奈くんとふたりきりで個室にいるなんて……。



——ドキドキドキ……。


それに、なんでそんなに心臓に悪い恰好してるの?



「……ね、朝比奈くん、」


「なに?」


「どうして浴衣なのかなって……」


「あー、体操着持ってくるの忘れたんだよね」


「なるほど……忘れもの……」


もうその色気のある首元がさっきから視界に入りそうで仕方ない。


「あのね、浴衣。着崩れてると思うの。ちゃんと着てくれる……?」


「だって俺、着方わかんないもん」


仕方ないでしょ?みたいな顔しないで。



「そんなの簡単に着れるでしょ……?」


ぴしっと浴衣の前を閉じて、ぎゅっと紐を結ぶだけでしょ……!



「簡単に着たらこーなったんだよ」


「とにかくもう少しぎゅっとして!」


「大胆だね、宮岡さん。……いーよ」



グリーンの浴衣の袖から出る両腕があたしに伸びて、


――ぎゅー。


って抱きしめられて、「ひゃぁぁぁ」っと声が出てしまった。


「ばかっ! 違う、そういう意味じゃないから……!」


「えー?」


腕の力を緩める朝比奈くんは、琥珀色の瞳をあたしに向ける。


「……じゃあ、宮岡さんが直して」


甘えっぽい声に。


ドキッと心臓が跳ねる。