もう無視しよう。
そう決め込んだその時、視界にはいってきたのは、
夕日の光に際立たされた綺麗な顔立ち。
薄ピンクの唇が、にこりと笑って、
「……宮岡さんは、俺のだからね?」
——ドク、と壊れそうなほど心臓が鳴った。
念を押すみたいに、視線を絡める朝比奈くんは、
嘘でもそう言われた女子がどう思うか、わからないの?
……心臓、もげそう。
「そうやっていちいち赤くなるとこ、俺的にポイント高いよ」
いちいちで悪かったですね。
もうやめて、これ以上はだめ。
「……っ、お風呂いきます、さよなら!」
もうめちゃくちゃ走ってやる……!
大地を蹴って蹴って蹴りまくって、
後ろを振り返ると、豆みたいに小さく見える朝比奈くんがのんびりと歩きながら、大きく手を振っていた。
……追いかけては、こないんだね。
そりゃそうか、朝比奈くんが理由もなく走って誰かを追いかけたりするわけない。
鬼ごっこでもやる気出さないタイプって感じがするもん。
もー、1人でこんなに爆走して一気に恥ずかしいじゃん……!
朝比奈くんの、ばか……!



