僕を壊したのは君だから。

「ゴホン……朝比奈くんは、彼女いたの?」


「いまさら聞くの? 俺、彼女はずっといないよ。 つーか、いたら宮岡さんにこんなことしないっしょ」



ぎゅっと繋がれた手を見せつけるように目の前まで持ち上げる朝比奈くん。


だから、小さく舌出すの可愛いからしちゃだめ。


パシ、と手を振り払って、質問しなおすね。



「そうじゃなくて、彼女、一回もいなかったの?」


驚きながら聞いたのに、被せ気味に否定された。


「まさか。いっぱいいたよ。俺モテるからね」


うわ、自分で言っちゃった。
でも見るからにモテる人だからわかってます……。


だけど、彼女さんが”いっぱい”もいたんだ。


……いっぱい、も。


いっぱいってどのくらい?

どんな子と付き合ってたんだろう……。




「……ぷ。そんな落ち込まないで、宮岡さん」



頭よしよしと撫でてくるその手が、素直に心にしみるほど、私はかなり落ち込んでるかもしれない。



「以前の話でしょ。今は俺、宮岡さんだけだよ?」



……優しい声色が嘘くささを深めすぎて、うすっぺらくてびっくりするけど。



「だって宮岡さんってかわいいもん」


そんなわけないことだけは、わかる。


でも、しばらくはこのまま。朝比奈くんに本当に好きな人ができなかったらいいな……。


友達と呼べるかわからないけど、こうやってからかわれる対象で、全然いいから。


夕暮れに染まるキャンプ場を並んで歩く今も、私は少なくとも幸せだとおもうもん……。