「離してくだ」「やだ」
「やだじゃないから……っ!」
殴りそうな勢いで、ちゃんとその腕から脱出したよ。
でもダメ。朝比奈くんの馬鹿。
香田さんからの冷ややかな視線で体貫通しそう……。
なのに朝比奈くんは念を押すように。
「宮岡さんにちょっかい出さないでね」
そんなことを言う。
恥ずかしいし、周りの目が怖いし、慌てふためいた私の視線は地に落ちる。
「お、おう」
「わりぃ」
朝比奈くんの大王様感はすごいんだけど、……空気がすこぶる悪いよ。
朝比奈くんは幼馴染の島田くんにも「優しい」と評価されるほどだし、
気を遣わせてしまったんだろうけど……でも。
「別に、私買ってくるよ? 全然使ってもらって構わないし……!」
私なりに澄んだ空気を取り戻そうとしたんだけど、朝比奈くんと香田さんにまで深く呆れのため息をつかれてしまった。
「宮岡さんは、ほんと馬鹿だよね」
といったのは朝比奈くん。
頭に手の甲がコツンと落ちてきて、どぎりと心臓が跳ねる。
呆れっぽく目を細める朝比奈くんは私の手をとって。
「そんなにパシられたいなら俺だけに一生懸命尽くしてなよ?」



