時計の針が重なる前に



「今日は、大丈夫そうですね」

冬哉の謎の言葉に花梨は首をかしげる。


「いや、間違ってたら申し訳ないんですが、先日お会いしたとき顔がうかないというか疲れているように見えたので…」


先日とは誕生日の日のことである。

「そんなに顔に出てました…?」

「うーん、気づかない人は気づかないと思いますが…
あのとき、お義姉さんが大変だったでしょう?」


あー、と花梨は肯定ともいえる返事をした。


「あまり、家族間のことに首を突っ込むのはよくないとわかっていますが…もし、つらくなったらいつでも話くらい聞きますよ

って、いきなり、すみません…」

勝手に踏み込んだ話をしてしまったと冬哉は慌ててしまった。


「ふふっ。でも、そう言っていただけるだけでも嬉しいです。」


花梨の笑顔に冬哉はホッとしたような顔をした。