時計の針が重なる前に



海辺で少し過ごしたあと家まで冬哉に送ってもらった。


「今日はありがとうございました。ほんとうに楽しかったです。」


「それならよかったです。俺もすごく楽しかったです。

あ、そうだ。花梨さんにひとつお願いがあるのですが…」


「なんですか??」


「俺のこと名字じゃなくて下の名前で呼んでもらえませんか?」


冬哉はためらいながら少し恥ずかしそうに言った。


花梨は予想外のお願いに驚きで少しの間なにも言えなかった。


そんな花梨の様子をNOと思った冬哉は


「あ、無理にとはいいません。すみません。変なこと言って…」


「あ、いえ、その、いやとかじゃなくて……お、おどろいたんです!…

だから、えぇっと……」


パニックになって自分が何言ってるのかわからなくなっていった。言えば言うほど混乱でおかしなことをいいそうだ。