時計の針が重なる前に



幼かった花梨には理解ができなかったが今の彼女には理解できる。

「だから、そのときからその魔法にかかる日を心待にしてるんです」


まだ、かかってないんですけどね、と苦笑いをうかべた。

「素敵なお母さんですね。」


「はい。大好きでした。

あ、でも、この話を友達にするとロマンチストすぎって言われるんですけどね笑」

「そうですか?俺はそういうの好きですよ。」


そういって、笑う冬哉の顔を見て花梨はドキッとした。

「でも、花梨さんにまほ……」


冬哉がなにか言おうとしたとき波がうちよせ二人の足を冷たくぬらした。

「ひゃっ!?つめたい!

あ、何か言いましたか?」


波に驚いて冬哉の言葉が花梨には聞こえなかった。


「いいえ。大丈夫です。」


冬哉はそう微笑んだ。