『ママ~!シンデレラ読んで!』

小学生だった花梨は毎晩のように母に本を読んでもらっていた。

1番のお気に入りはシンデレラだった。


『ねぇ、私、シンデレラみたいに魔法できれいになりたい!』

無邪気に言う花梨の頭をいとおしそうに撫でながら母はこういった。


『花梨。この世に、魔法使いは存在しないの。』


花梨は母の言葉にシュンとなる。

『でも、綺麗になるための魔法は存在するの。』

先程までの落ち込みとはうってかわって、目を輝かせて


『どんな魔法なの?私も使える?』


『そうよ。女の子みんなにかかる魔法よ。

それはね、この世界で1番大切な人に出会ったとき、美しくなろうと思うようになるの。

その魔法にかかった女の子はみんなきれいになるの。』