「上崎さん、今日はありがとうございます!こんなに、楽しい誕生日は初めてです。」

「それは、よかったです。」

花梨のお礼に冬哉は心から嬉しそうな笑顔をうかべた。

「誕生日っと言えば私が小学生の時、お母さんが、ある魔法の話をしてくれたんです。」


「魔法?ですか?」


「はい。女の子が綺麗になる魔法です。」


海を眺めながら花梨はその日のことを思い出した。

今でも鮮明に残る母との記憶のひとつだ。


「私、おとぎ話のシンデレラが好きだったんです。まあ、今も好きなんですけど」