時計の針が重なる前に



食卓にはたくさんの料理が並んでいた。


「ささっ、花梨さん、遠慮せずにたくさん食べてね!」


ご飯を運びながらお母さんが言う。


「お兄ちゃんって、普段どんな感じなのー?」


ご飯を食べていると、愛蘭が尋ねてきた。


「えぇっと…やさしいです」

とっさになにも浮かばずそう答えた


すると愛蘭はケラケラ笑いだした。


「お、お兄ちゃんがやさしい…とか、明日嵐くるやん」


「愛蘭、どういう意味ですか?」


「だって、ほんとのことだもん。てか、ですか、なんてお兄ちゃん丁寧すぎて怖いわ笑笑」

花梨は愛蘭の言葉に首をかしげた。
冬哉が丁寧なのはいつものことだからである。


愛蘭はそんな花梨のほうを向いて


「いやー、テレビとかでは王子様みたい!って言われてるけど家では妹に冷たい暴君だから!花梨さんだまされちゃだめだよ!」

ビシッと冬哉を指差して言った。


「自分が家の法律とかふざけたことぬかしてる人に言われたくありません。」


「ぎゃ!またそんな言葉つかう!」


まるで寒気がする、とでも言いたげに腕をさする。