時計の針が重なる前に


「ここは?」

花梨は頭にはてなを浮かべていた。

「俺の叔父がガラス細工の職人なんです。ここは、その工房です。」

「でも、どうして…?」

「今日がお誕生日だと聞きました。」

冬哉の言葉にあっ、となる。義姉のおかげで自分の誕生日のことはすっぽり頭からぬけていた。

そこで、どこで知ったのだろうという疑問が生まれた。
花梨の不思議そうな顔から察したのか

「この前、神宮寺さんと他何人かで飲みにいったときに今年は仕事のせいで祝えないって嘆いたので」

花梨は恥ずかしさで顔を覆いたくなった。

父は昔から酔うとよく喋りかつ家族自慢が過ぎるのだ。