そのとき、うしろから誠也が現れた。
「おい」
「わっ、びっくりした…」
「だれ?」
花梨の反応をよそに冬哉の方に視線を向けて尋ねてくる。
花梨がどう答えようか迷っていると
「上崎 冬哉です。花梨さんの友人ですよ。」
ね?とでもいうように言った冬哉の言葉にこくこくとうなずく。
「ふーん…」
雰囲気が悪くなりかけてきたとき、
「おふたりさん!買いたいもの決まった?」
完璧なタイミングで優菜が現れた。
そして、そのまま視線は冬哉へと向き
「うっそ、かみさ…んぐぅ」
「優菜は声がでかい!」
驚きと歓喜の雄叫びをあげそうな優菜の口を慌ててふさぐ。
そして、冬哉の方を向いて
「すみません。友達が騒いでしまって」
「大丈夫です。俺は仕事があるのでここで失礼しますね。」
そう言ってお辞儀をすると冬哉は本屋を出ていった。