時計の針が重なる前に


食事を終えて店をでたとき、駐車場の隅で猫が数匹たむろしていた。

「猫だ!かわいいぃ…」

花梨は無類の猫好きで、見かければ時間のあるかぎり見つめてしまうのだ。

「猫、好きなんですか?」

「はい!小さい頃から猫をみるとつい眺めちゃうんです。なんか、癒されるんですよ」

目をキラキラさせながら答えた。

「猫は飼っているんですか?」

「いえ、義理の母が動物嫌いで飼えないんです。」

京子は動物の毛で自分の服をはじめとする所有物が汚くなるのを極度に嫌がった。

「上崎さんはなにか生き物飼ってるんですか?」

「猫を一匹だけ。捨てられていたのを拾ったんです。」

「優しいんですね。どんな猫ですか?」

「真っ黒ですよ。最近、食べ過ぎでブクブク太ってきてどうしようか悩んでます」

冬哉は苦笑いを浮かべた。
「いいですね!私もいつか飼いたいな…」

そうつぶやきながら再び猫に視線を戻した。