秋〜本もいいけど、俺のことも見て〜

「横についてるよ?」

秋斗に顔を近づけられ、唇の近くをペロリと舐められる。顔を真っ赤にしてあたしが固まっていると、秋斗はもう一度キスをしてきた。



ドキドキしながらの食事が終わり、片付けを済ませた後、あたしはコートを羽織ってかばんを片手に本屋へと向かう。あの本を買いに行くためだ。

キャラメル色のお気に入りのコートに赤い靴。赤い靴は地面に落ちた落ち葉を踏んで、面白い音を立てている。楽器みたいだ。

秋斗はギターの練習をすると言っていたので、一人で行くことになった。別々の時間も必要だよね。

書店で買いたかった本と、気になった本を何冊も買う。あたしは読書を始めたら止まることがない。何百ページあっても一日で読み終わってしまうことも多い。何冊か買っておこう。

お金を払い、本を手にわくわくしながら帰る。どんなお話だろう。今度はどんなモチーフを描きたくなるんだろう。

胸の高鳴りは止まることを知らない。あたしは走って家に帰った。