秋〜本もいいけど、俺のことも見て〜

あたしは恥ずかしくてうつむいてしまう。顔が熱い。

でも、うつむいていても秋斗が微笑んでいるんだということだけはわかった。



それから数日後、あたしたちは互いの仕事が休みだったので家でゆっくりしていた。

二人で観に行きたかったけど仕事で行けなかった映画を借りて、午前中は見ていた。話題になったミステリー映画で二人で犯人が誰かを推理しながら楽しく午前は過ぎた。

「そろそろお昼だね。俺が作るよ」

「あたしも手伝おうか?」

ソファから立ち上がろうとするあたしを、「いいよ。俺が作る」と秋斗は言ってソファに座らせる。その手はとても優しいものだ。

「でも、秋斗は昨日も遅くまで仕事だったでしょ?そりゃあ、秋斗の作るご飯はおいしいけど……」

「秋奈がおいしそうに食べてくれる顔が好きなんだ。俺に作らせて」

秋斗に微笑まれ、あたしは「じゃあ片付けはあたしがするよ」と言いスマホを手にする。秋斗は満足そうにキッチンに立った。料理をする音が聞こえてくる。何を作ってくれるんだろ?