あたしがそう言うと、秋斗は「ありがとう」と笑う。そして言葉を続けた。

「でも、秋奈も気をつけないと。秋奈の絵を待ってくれている人たちもいるし」

自分だけじゃなくて、あたしのこともそうやって考えてくれる。それが嬉しいんだ。秋斗には足元にも及ばないのに……。

「そうだ!この前仕事仲間から美術館のチケットもらったんだよね。一緒に行かない?」

秋斗がかばんの中からチケットを二枚取り出す。秋といえば、芸術!イラストレーターのあたしの返事は一つしかない!

「行く!行きたい!」

あたしがそう言うと、秋斗は「よかった。じゃあ今度の日曜日に行こうか」と笑って頭を撫でてくれた。優しい手つきが心地いい。

「秋斗、大好き」

あたしがそう笑うと、秋斗は少し意地悪な顔をしてあたしに囁いた。

「俺は愛してる」

心地いい低音に、あたしの肩がピクッと跳ねる。耳元で囁かれて恥ずかしい。そんなあたしを眺めながら、秋斗は頭を撫で続ける。