「どうせこの前のキスだって事故だと思ってんでしょ?」
ヤバい……声が出ない。
何て言えばいいのかわからない。
俺の中には正解がない。
ただ真っ直ぐ目を逸らさないだけが誠意だととんだ勘違いを………
「ハハ、本当ムカつく……バカ正直もここまでくると笑えるわ」
何でここで笑うのかもわかってない。
強がってるのかなんて思うのは桜井さんに失礼だと思った。
「こんなバカ正直にマジになるなんて……黒歴史だわ」
ここでごめんなさいはきっとさらに怒りを買うことになるよな。
「そんな怯えないでよ、余計傷つくっての。でもまぁ……このまま引き下がる私でもないし?」
ヤバっ……何か企んでる顔つきっ…!!
ニヤリと見上げる瞳にドキッとした。
桜井さんの手がブレザーの襟に触れる。
「知ってた?私って、結構諦め悪いの」
「そ、そうなんだ……」
やっと声が出た……
え?ボタン外されてない?
上からカッターシャツがはだけてく。
「そろそろ本気で仕掛けちゃおうかな」
な、何を……?
突然の展開に脳がついていかない。
身体が強張る。
半分ほどボタンを外されて胸元まで見られた。
「安心して、この以上はしないから私のヒロくんに対する気持ち……形に残していい?」
え、本当にどういうこと!?
経験値なさすぎて先がよめない。
顔が近付いてきた。
またキス!?
思わず顔を引いてしまう。
「大丈夫、キスはキスでもこっちね……」
スッと顔が下がって首に唇が触れた。
「あ……っ」
あまりにも衝撃的すぎて変な声が出た。
マジで格好悪い。
クスッと笑われてるし。
でも唇の感触はすごく柔らかくて這うように動く。

