「ヒロ……温かいね」
少し顔がこっちに向いて目が合った。
顔が近くて心臓が落ち着かない。
わかってる。
これ以上求めてはならないことくらい。
でも視線が外れないから……
期待だけが募って魔が差す。
もし、もしも今……この唇に触れたらどうなる?
俺は……理性を保てるだろうか?
身も心も一瞬で全部持ってかれて……
きっと止まらなくなる。
奈那を感じたら途中で止まる自信ない。
でも………まだ彼氏だし。
付き合ってる設定ならキスくらい………
ほんの勇気を出して奈那の顎を持ち上げたら………
ゆっくり顔が近付いていく………
奈那………好きだよ………
柔らかい唇に触れた瞬間、頭のてっぺんまで熱くなってやっぱり止めることが出来なかった。
大胆不敵な俺は戸惑う奈那に益々貪欲になる。
「ヒロ……ここじゃダメ…っ」
今は何も言わないで………
俺だけを感じて………
人目なんてもう気にならないくらい
身体が熱くて奈那に逆上せてる。
心の底から欲しいって思ってるよ。
抵抗しないで。
俺を見て……?
早く観念して……絡ませてよ。
「やだぁ……」って涙目になりながら首に手を回して欲しがって……?
奈那の方からキスしてみせてよ。
「ヒロ…?ヒロってば…!」
バチッと目が合う。
え?何で今……頬抓られてるの?
イタイ………
「どうしたの?さっきからボーッとして」
「え……!?」
あれ!?もしかして………
これってまさか………
え……?単なる俺の妄想っ!?!?
マジかっ!どこから!?
もし、もしも今……この唇に触れたらどうなる?ってとこかららしいです。
うわっ、恥ずかしい…!!
俺……あんなリアルに奈那とのキスシーン妄想してたんだ?
唇の感触とか温かさとか全部奈那だった……

