触りたい、縛りたい、愛したい  〜例え許されない恋だとしても〜




あまり話さない俺の周りで常に笑ってくれてた奈那に幾度となく救われてきたのは事実。
どう接していいのかわからない涼子さんとの距離も間に入ってくれたっけ。
なんで?
再婚同士って子供は気まずくね?




いつしかそう尋ねたら
逆になんで?私は二人が大好きだよ!って一番簡単な答え持ってやがった。
ヒロも聡志パパに似てるから絶対ママとも上手くいくよってどこからそんな自信わくんだよ。




そんな俺たちも3年が過ぎて
高校1年生と3年生になっていた。
もう学ランとセーラーからブレザーに変わっていて、同じ進学校の私立に通う。
自慢じゃないが割と偏差値は高い方なんだけど、編入試験一発合格するとはな。
前に通ってた学校聞いたらここより偏差値低かったのに結構頑張ったんだ……




「ほら、二人とも早くしないと遅れちゃうわよ」




「わっ、行ってきます…!」




慌ててカバンを持ち玄関に走る。
靴を履いてるとカバンを引っ張られた。




「え、ヒロその格好で行くの?コートは?」




外は気温1桁の真冬。
寒いのはわかってるけど厚着はしたくない。




「大丈夫だよ、中にセーター着てるし」




コートに手袋してる奈那はかなりの寒がり。
この前なんか耳あて買おうか悩んでたもんな。
男は体温高いんだよ。
「風邪ひくよ〜」っていつもひくのはお前の方だからな?




「置いてくぞ?先行ってる」




本当は並んで歩きたいけど照れ隠し。
あれ?追いかけて来ねえ。
まぁ、いいか。
やっぱ寒っ!
白い吐息が凛とした空気に消えていく。
時間はギリギリだけど何となくゆっくり歩いてしまう。




「ヒロ…!」




後ろから走って来る奈那の声。
振り返って「おせーぞ」と可愛げなく言ってしまうのは許せ。
息を切らして駆け寄って来たと思えばフワッと温かいものに包まれて……