触りたい、縛りたい、愛したい  〜例え許されない恋だとしても〜





萌え袖でカップを両手持ち。
猫舌だから慎重にフゥフゥしてる。
気付いたらずっと見てしまう。
片手で顔を隠して
「ヒロ……見過ぎだから」って照れてる。
揺れるピアスに後れ毛。
自然と手は伸びて耳にかけてあげた。




「マジで可愛い……」




ヤベ、心の声がだだ漏れだ。
お互い真っ赤になりながらカプチーノを口にする。
彼氏役は……無敵か。
自分じゃない自分が存在してるみたいだ。




片時も手は離れない。
一応、レディーファーストしてるつもり。
夢みたいな今の時間が覚めないようにと願い続けた。
可愛く甘えてきたり熱帯びた視線を向けてきたりする奈那も、今だけは同じ気持ちで居てくれたらいいな。




やっぱりどう足掻いたって奈那が好きなんだ。




幸せのすぐ真裏には現実が口を開けて待ってる。
呑み込まれないよう手を強く握った。





涼子さんに頼まれたお使いでドーナツ。
言われてた種類は全部買えて最後の1つを何にするかせーので言い合ったら同じのを指差し笑い合う。
「同じじゃん」と頭を撫でた。




外に出ると結構寒い。
早速買ってもらったマフラーを出す。
巻き方わかんないから巻いてもらった。
繋いだ手はコートのポッケに。
冬は日が落ちるのが早い。
すっかりクリスマスムードで街路樹にはイルミネーション。




「少し見てかない?」と俺から誘った。
周りはカップルだらけで俺たちも自然に馴染んでる…はず。
携帯のカメラで撮ってる姿ははしゃいでて可愛い。
インカメで2人映る。
ギュッと後ろから抱きしめた。




「撮れた?」




「うん……」




撮り終えた後も名残惜しくて
「もう少しこのままでもいい?」と聞いたらコクリと頷いてくれた。
頬を寄せると当たる耳が冷たい。
だからより強く抱きしめてしまう。