触りたい、縛りたい、愛したい  〜例え許されない恋だとしても〜





「いや、奈那?別にこんな高いお店じゃなくてもう少しリーズナブルなところで良いって」




「ん〜?ここにするって決めてるの」




えぇ…!?マジかよ……
わわ、早速店員さんが来ちゃったよ?
何か親しげに話してるし。
やっぱり初めて来た感じじゃない。
奈那の持ち物でここのブランドはあったかな?
自分にじゃなかったら……?
涼子さん!?親父には有り得ない。




「恋人へのクリスマスプレゼントですか?」




「はい、誕生日も近いんでそれも兼ねてなんですけど」




普段の私服系統や俺の好きな色とか本人そっちのけで話したりしてるけど、何か圧倒され過ぎて頭に入ってこない。
すげぇアウェー感。




マネキンと化した俺の前で、2択に絞れたようだ。
ネイビーとライトグレーでどちらもうっすらチェック柄で格好良く、大人の男性が持ってそうなイメージ。




今日のコートはネイビーに近いからライトグレーで決まった。
俺もどれが良いか聞かれたけど奈那が選んでくれたやつが良いって言っちゃった。
でも何気に一番最初に目に入ったのがこのライトグレーだったから実はめちゃ嬉しかったりする。




即決して買おうとしてるけど値段いくらなの!?
値札ないじゃん。
支払い時に聞こえたけど17,600円って…!
満足そうに買ってる…!




丁寧に出口までお見送りされて
「はい、プレゼント」って渡された。
何度も「ありがとう」言っちゃったよ。
高級すぎて使いこなす自信ないんだけど。




「あ〜緊張した!」ってどこが!?
少し前から通って店員さんにアドバイスもらってたみたい。
今日一緒に買いに来ることも伝えてたんだって。
ちゃんと俺のこと考えてくれてただけで嬉しい。




いくつかお店を回り、気になるたびに手を引っ張って連れて行かれる。
コロコロ表情が変わって飽きない。
全部、一緒に楽しもうとしてくる。
心地良く巻き込んでいく。
常に距離感が恋人のよう。